【損保数理】エクセス方式
損害保険では、損害の一部を被保険者に自己負担させる引き受けがよく行われます。今回はその中で、エクセス方式について説明します。
エクセス方式では、免責金額(エクセスポイント)と支払限度額(カバーリミット)を設定します。
これは、クレーム額が免責金額以下だと保険金が支払われず、クレーム額が免責金額より大きくなると、支払限度額を上限に保険金が支払われることを意味します。
式に表すと次の通りです。
クレーム額をとする。
のとき、 保険金支払額なし
のとき、保険金支払額
のとき、 保険金支払額
例えば、免責金額億円、支払限度額億円のとき、
クレーム額が億円のとき、保険金は支払われません。
クレーム額が億円のとき、保険金支払額は億円です。
クレーム額が億円のとき、保険金支払額は億円です。
それでは、エクセス方式を導入したときの、保険金支払額の期待値を求めてみましょう。ここでは、保険金支払額の確率密度関数をとします。
のときは、保険金支払額はなので、期待値は、
となります。
のときは、保険金支払額はなので、期待値は、
となります。
のときは、保険金支払額はなので、期待値は、
となります。
以上より、エクセス方式を導入したときの保険金支払額の期待値は、
と表されることが分かります。
エクセス方式の保険金支払額の期待値