【損保数理】2021 問題1 Ⅲ
問題
Lundbergモデルにおいて、期首サープラスは、クレーム件数は平均のポアソン分布、個々のクレーム額の分布の確率密度関数はに従うとき、Lundbergの不等式は、期首サープラス、破産確率、調整係数を用いて下式のとおり表される。
また、期間]で受け取る収入保険料総額は、当該期間でのクレーム累計額の期待値に安全割増率を考慮したにて表されることとする。
のとき、Lundbergの不等式を用いて保険会社にとって最も保守的に評価した破産確率をまで許容することとした場合、必要な安全割増率を求めよ。
解答
Lundbergの不等式を用いて保険会社にとって最も保守的に評価した破産確率をまで許容するので、
より、
ここで、クレーム総額は複合ポアソン分布に従うから、調整係数が満たすべき方程式はとなる。
より、だから、
【損保数理】クレーム総額の分布関数の計算 移動ガンマ分布近似
クレーム総額の分布関数の計算のより一般的な方法として、ガンマ分布に近似させる方法があります。
を、パラメータを持つガンマ分布の分布関数としましょう。
ここで、このガンマ分布をだけ正の方向に移動させた分布関数を考え、これを移動ガンマ分布と言います。
クレーム総額を移動ガンマ分布で近似するとき、,が移動ガンマ分布の期待値、分散、3次積率と等しいとして近似します。
公式としてまとめると次の通りとなります。
【損保数理】クレーム総額分布
一定期間内に発生するクレーム件数を確率変数、そのうち、番目のクレームのクレーム額を確率変数と表すと、一定期間内のクレーム総額を表す確率変数は、
となります。このとき、の期待値、分散、積率母関数はどのようになるでしょうか。
話を簡単にするために、以下のような仮定を置きましょう。
① は、同一の分布に従う。
② は、互いに独立である。
それでは、期待値を求めてみましょう。以下の公式を使います。
これより、
ただし、2つ目の等号では、仮定を利用して式変形をしています。
次に、分散を求めてみましょう。以下の公式を使います。
これより、
ただし、2つ目の等号では、仮定を利用して式変形をしています。
最後に、積率母関数を求めてみましょう。期待値と条件付き期待値の関係を使って、
以上の3つをまとめると、
【損保数理】エクセス方式
損害保険では、損害の一部を被保険者に自己負担させる引き受けがよく行われます。今回はその中で、エクセス方式について説明します。
エクセス方式では、免責金額(エクセスポイント)と支払限度額(カバーリミット)を設定します。
これは、クレーム額が免責金額以下だと保険金が支払われず、クレーム額が免責金額より大きくなると、支払限度額を上限に保険金が支払われることを意味します。
式に表すと次の通りです。
クレーム額をとする。
のとき、 保険金支払額なし
のとき、保険金支払額
のとき、 保険金支払額
例えば、免責金額億円、支払限度額億円のとき、
クレーム額が億円のとき、保険金は支払われません。
クレーム額が億円のとき、保険金支払額は億円です。
クレーム額が億円のとき、保険金支払額は億円です。
それでは、エクセス方式を導入したときの、保険金支払額の期待値を求めてみましょう。ここでは、保険金支払額の確率密度関数をとします。
のときは、保険金支払額はなので、期待値は、
となります。
のときは、保険金支払額はなので、期待値は、
となります。
のときは、保険金支払額はなので、期待値は、
となります。
以上より、エクセス方式を導入したときの保険金支払額の期待値は、
と表されることが分かります。
【生保数理】2022 問題1 ⑴
利力のとき、ある実数においてが成り立つ。このとき、の値を求めよ。
公式
解答
より、
これより、