のんびりアクチュアリー勉強日記

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【損保数理】クレーム総額分布

一定期間内に発生するクレーム件数を確率変数N、そのうち、i番目のクレームのクレーム額を確率変数X_i (i=1,2,・・・.Nと表すと、一定期間内のクレーム総額を表す確率変数Sは、

S=X_1+X_2+・・・+X_N

となります。このとき、Sの期待値、分散、積率母関数はどのようになるでしょうか。

 

話を簡単にするために、以下のような仮定を置きましょう。

① X_1,X_2,・・・,X_Nは、同一の分布に従う。

② N,X_1,X_2,・・・,X_Nは、互いに独立である。

 

それでは、期待値を求めてみましょう。以下の公式を使います。

期待値と条件付き期待値の関係E(S)=E_N(E_S(S|N))

これより、

E(S)=E_N(E_S(S|N))=E_N(N \cdot E(X))=E(N)E(X)

ただし、2つ目の等号では、仮定を利用して式変形をしています。

 

次に、分散を求めてみましょう。以下の公式を使います。

分散と条件付き分散の関係 V(S)=E_N(V_S(S|N))+V_N(E_S(S|N)

これより、

V(S)=E_N(V_S(S|N))+V_N(E_S(S|N)\\=E_N(N \cdot V(X))+V_N(N \cdot E(X))\\=E(N)V(X)+V(N)E(X)^2

ただし、2つ目の等号では、仮定を利用して式変形をしています。

 

最後に、積率母関数を求めてみましょう。期待値と条件付き期待値の関係を使って、

M_S(t)=E(e^{tS})\\=E_N(E(e^{tS}))\\=E_N(M_X(t)^N)\\=E_N(\exp (N \cdot \log M_X(t)))\\=M_N(\log M_X(t))

 

以上の3つをまとめると、

クレーム総額分布 E(S)=E(N)E(X)\\V(S)=E(N)V(X)+V(N)E(X)^2\\M_S(t)=M_N(\log M_X(t))